【No5 大人のひきこもり問題。】
2019年6月7日(金)
自分の存在を心の奥で肯定できている人。
自分の存在を実は心の奥では否定している人。
エネルギーの消耗量はまったく違うのです。
とても簡単なことです。
自己の否定は「生きててはいけない」です。
存在の否定なのですから。
しかし死ぬわけにはいかない。死にたくない。
自己否定を感じながらも生きる人は「そのままの自分ではなく、誰かにとって利益になる自分」を我慢して自我を押し殺して必死でつくろうとします。
そのままの自分に無価値を感じているからです。
世間が受けいれてくれる「なにか」をつくらなければ、生きた心地がしません。
自分そのものを肯定的に感じて独りでも生きれる人。
自分そのものでは価値がなく、常に世間の顔色をうかがって生きる人。
一見は「普通の大人」に見えるかもしれない。
しかし、あまりにも、あまりにも抱えている不幸が違うのです。
大人になって、ひきこもりになってしまった。
未熟で愚かな世間はなにも考えず、否定したり非難したりするかもしれません。
「生きててはいけない」という観念が心の奥にあり、常に「誰か」の評価を気にして生きてて、社会人として責任を背負い続けた人が、あるとき、疲れ果てて動けなくなってしまった。
当たり前のことです。
そのままエネルギーを消耗し続けていたら、本当に死ぬかもしれなかった。そう感じたから、最後の最後、「誰か」に良い顔をするのをやめて、自分を守る生活に入った。
当然なんだと自信をもって欲しいのです。
ひきこもり問題で苦しむ人のなかには「自己を否定する」にピンとこないかもしれません。
自分の存在がそのままでは価値がないと思うようになってしまうことは、無限にあります。
ひとつ例をあげると、学校のテスト。
そもそもの話。自分はテストをされたいと思っていましたか?
高い点数をとる人も低い点数をとる人も、自分の存在価値に点数を関連づけている。こんな、くだらないことを幼いころからずっとずっとされているのです。
いつのまにか、知らぬ間に「自己否定感」をもってしまうのは当然なんですね。
そのままの自分ではいけないと感じている人が、住宅ローンを支払う、税金を納める、家庭環境を調和させる、健康を維持する、仕事に緊張感をもつ、人間関係を良い状態に保つ、親の介護を行う。
ずっとずっと良い状態を保ちつつ継続できると感じられますか?
不可能ですよ。
しかも日本はこれからさらに厳しい時代をむかえます。もっともっと、大人のひきこもり問題は深刻化します。
どうすれば良いのか?
まず知って欲しいのです。わかって欲しいのです。
ひきこもりって誰も自分を守ってくれなかったら、起きたんです。
守ってくれないだけではなく、ひきこもりになるような原因もたくさんたくさん盛られた。
99.9%自分の責任ではないのです。
それを理解して欲しいのです。
カウンセラー本橋良太